町全体にも特徴的な 色 というものが存在します。
毎日を過ごしていると世の中は近視眼的に見えてきて、町の色 というものにはなかなか気づかなくなってしまいますが、いつもと違う場所に行ったときに感じるように町にも個性の 色 があります。
写真はロンドン。
私がこの町でいつも感じるのは直線的なイメージです。
すっきりとした男性的な街のデザインに厳かな雰囲気や落ち着きを感じます。
日差しは大抵いつも控えめで、曇りや雨が多く、冬はなかなか明るくならず、びっくりするほど早く暗くなってしまう。
こんなやや日差しの少ないロンドンでひときわ目立つのが、皆さんご存知のロンドンバスの赤い色です。
ファッションで役立つ色の面積比に 7:2:1 というものがあります。
町の景観の場合もほぼ同じように 1 の部分をアクセントカラーと呼びます。
全体の面積のうちの10%に 他と違うような変化を与える色を加えることでぐっと引き締まっておしゃれ感が増すのです。
ロンドンの場合のアクセントカラーは間違いなくこの 赤 。
バスだけでなく電話ボックスやポスト、地下鉄の入り口表示にもアクセントカラーの赤が使われています。
この風景、誰もがロンドンと言ったら思い浮かべるほど定着していますよね。
それでもこんなすっきりとしたロンドンも赤が定着するまではひと悶着あったらしいですよ。
バスは赤だけでなく、いろんな色が混在した時期もあったとか。
バス会社によってそれぞれの色をつけ、会社が乱立したためだったらしい。
やがて一つに集約されて赤に落ち着いたようですが、もし乱立したままだったらロンドンの厳かな落ち着いた雰囲気はなかっただろうと思うと不思議ですね。
私も自分の身の回りの町の色をもう一度眺めなおしてみたくなりました。
児島