京都の町屋、弁柄色の壁

和の色名

京都の祇園で写した写真をご紹介します。
ご存知の方も多いかと思いますが、祇園の町屋の風景です。

この壁の色、弁柄色 と言います。
古くから残っている町だけでなく、江戸時代を再現した建物や場所にもよくこの壁の色が使われていますね。

弁柄とはインド東部のベンガル地方のこと。それを漢字に置き換えたため、弁柄色のほか紅殻色と表記されることもあります。

色自体は大変古いもので古墳の壁面にもこの色が使われていますが、世界に出回ったのはベンガル地方で産出された弁柄色でした。
日本でもほぼ輸入品しかなかった弁柄色がついに国内で作れるようになったのは江戸時代中期

岡山県吹屋で大変質の高い弁柄色が作れるようになり、あちらこちらで使用されるようになりました。
色味の美しさだけでなく、色褪せしづらく防腐剤効果もあったため、魔よけの意味も持つようになりました。
まさに虫を寄せ付けなかったから~
(赤の効果は以前書いた伏見稲荷の鳥居の朱色とも通じていますね。)

吹屋の弁柄色は建築物だけでなく有田焼の柿右衛門や輪島の漆塗りなどにも使われています。

黄色っぽい赤、つまり朱色を暗くしたような色です。
日本は今でこそ色とりどりの街並みですが、江戸時代まだ華やかな色を作りにくかったころ この色はひときわ目立って見えたに違いありません。

京都ではあちらこちらでこの色を目にすることができます。
弁柄色のくすんだ感じが木の格子や瓦ととてもマッチしていますね。
こんな古い街並みを保存するのは大変なことだと思いますが、日本ならではのこの風景はいつまでも残してほしいと願わずにいられません。

努力を続けていらっしゃる京都の皆様に感謝です。

児島

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