ひな人形に見る かさねの色目

色の色々

風の冷たさは残しつつも日差しはすこしづつ暖かく感じられるようになりました。

今日は3月3日。桃の節句、ひな祭りの日。
女の子のいるご家庭では毎年この時期に美しいひな人形を飾り、女の子の成長を願います。
我が家でも長年お世話になったひな人形に今年も頑張ってもらわねば…。

そして今回はお雛様の着ている十二単に注目してみましょう。
十二単は大変有名でもちろんみなさんご存知ですね。

必ずしも12枚着ていたわけではなく、「とても多くの衣を着用していた」ということです。
季節に応じた色を何枚も重ねて着用し、襟元と袖口にグラデーションのきいたおしゃれを楽しんだんですね。
また 表の生地と裏の生地が別々の色で その張り合わせから成り立っている衣もありました。
透ける二枚の生地を張り合わせ、組み合わせにより微妙な色合いの衣が誕生。
これって現代のシフォンの生地の洋服などと似通ったおしゃれ感ですよね。

それだけではないんです。

着る人の年齢や季節によって細かく配色マニュアルができあがっていました!それを
かさねの色目(いろめ)


と言います。
季節といっても春夏秋冬の4シーズンだけではなく、初春とか何月から何月までとか実に細かい。
しかも若者だけとか年齢による違いもあって、もはや「覚えるのは絶対無理…」と思うくらいの数の季節・年齢ごとの配色があり、それぞれに日本らしく名前がついていてすごすぎます。
(この突き詰める性格は日本人特有でしょうか…?)

そういえば私、以前アフリカのジンバブエに住んでいたころにもこのひな人形を持っていきました。地球の反対側くらいの遠くにいても日本人の心を忘れずに育ってほしい という思いから。
これがたくさんの外国人の方々に大うけで。
娘のお友達やそのお父さん、お母さんから質問攻めでした。
髪型、衣装、畳の上に座っている様子など、きっとどれも初めてみる感動だったのでしょうね。
その中でもイギリス人のお友達から「日本人はエンペラーをこうやってたたえているのか?」との質問を受けたのはとても印象的で、「そういう意味ではなくて…」と説明するのに必死でした。
それでも最後には 女の子の日(桃の節句) があることにとても興味を持ってくれて、男の子の日(端午の節句)も含めて喜んでメモに書き留めていました。

日本伝統の美に尊敬の念と誇りを感じつつ、いろんな経験も思い起こさせる大切なひな人形です。

児島

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